動物心理学入門という本を読んだ。本書によると、「動物心理学」とは「動物を対象とした研究を通して、ヒトの『ココロ』を理解しようとする学問領域」である(p.1 はじめに)。人と動物の異なる点を比較し、共通点を類推することで、ヒトの心理をより深く理解できるのだろうと感じた。
本書は7つの章で構成されており、その多くは脳科学的な内容に重点が置かれている印象。「ココロ」を生む源泉が脳の働きに依存していると考えれば、脳に焦点が当たるのは自然な流れかなと思う。その他にはフェロモンや匂いに関する研究、遺伝やホルモンによる性差、環境による動物の能力の変化など、動物の感覚や知覚に迫る内容も多く含まれている。
1章ごとは4つのセクションに分かれており、それぞれが2〜3ページという短めの構成であるため、分量は少なめで読みやすい。第1章の内容はやや専門的で、少し難しく感じる部分もあったけど。
個人的に特に興味深かったのは、オキシトシンの作用についての部分。オキシトシンは愛着行動や保護行動を制御するホルモンであり、これは異性への関心や親子関係に影響を与える。でもそれだけでなく例えば飼い主と犬の関係においても重要な役割を果たすことが示されている。オキシトシンは意外と幅広い場面で作用するホルモンだと感じた。動物同士の社会的な関係だけでなく、動物と人間のような異種族間にも深く関わっている。