皮膚の研究をしている著者が、皮膚についての考察をまとめた本です。六章構成で、最初の二章は皮膚の構造や機能について書かれており、残りの四章は皮膚に関する考察・仮説などが書かれております。文体が語り口調というのと、文中に著者の体験談が比較的多く含まれているのとで、全体的にエッセイ的な雰囲気がそこはかとなくあります。220ページ。斜め読みでさらっと読めます。「第三の脳」というふれこみは、刺激をどんな刺激かを判断して対処する組織を「考える臓器」たる脳の主要な機能とするならば、消化器はいわば「第二の脳」であるという説からきています。皮膚にも自律的な仕組みが組み込まれている、だからいわば「第三の脳」と言えるのではないか、みたいな感じ。
個人的に関心を引いたのは、本の帯にもある触覚の錯覚についての話でした。平坦な箇所よりも際立った箇所に感覚が集中する、ゆえに同じ高さの箇所でも、でこぼこしているところの方が際立って感じ、異なる高さに感じる。人の感覚をあらためて考えると、非常に効率的にできているというか、不思議だなあと思いました。