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本:subject to change

「予告なく変更される(subject to change)」世界をいかに受け入れ製品開発していくべきか。本書では製品をどのようにデザインするか、どうしてデザインという行為を企業の中核に据えるべきかを論じ、変化の早い世界で柔軟で機敏な製品開発を実現する手法としてアジャイル開発の手法を紹介しています。

その中でもユーザーの「体験(experience)」をいかに理解してデザインするかというのに多くの紙面を割いています。ユーザーにとって製品の価値とは、その製品の背景にある技術的要素ではなく、何を「体験」したか(何を「体験」するか)による。「体験」とは人それぞれであり、その人の動機、期待、知覚、能力、流れ(時間)など感情や文化的背景に左右される。ユーザーの「体験」を理解するにはユーザーを「ヒツジ」のように誘われるだけの存在ではなく、感情・文化・文脈などいくつもの諸要因によって行動する複雑な「人間」として捉える必要がある。

そしてユーザーの「体験」とはユーザーがその製品を使って何を成し遂げたか、その始まりから終わりまでの一連の流れ/枠組み(システム)を通して得られる。フィルムカメラで言えば、カメラを使って写真を撮るまでではなく、フィルムを現像して写真にプリントするまでのフローが「体験」を形作る。すなわち「体験」をデザインするには、製品だけに注目してデザインするのではなく、システム全体を考慮してデザインするのが肝要であると説いています。