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本:イノベーションへの解

「イノベーションのジレンマ」とは、利益を最大化させるための論理的な意思決定が、逆に新興企業による市場の破壊を許してしまうというジレンマ。そのジレンマを機会として捉え、市場の破壊者としてどのように事業を構築していけば良いのか、ということを考察したのが本著です。全体は350ページほどで、イノベーションのジレンマについての理論的枠組みから始まり、市場の分析について、ターゲットとする顧客について、開発の手法について、コモディティ化(低利益化)への対応、組織、戦略、資金などについてを詳説していきます。後半のマネジメント的な話は個人的にあまり関心をそそられませんでしたが、前半部分はかなり面白かったです。

個人的に注目したのは、製品開発において顧客の置かれている「状況」に注目して、顧客が行いたい「用事」を満たすことが大事という話。ユーザーを年齢などの「属性」で市場を細分化してしまうと、顧客の用事を正しく捉えることができずに帯に短したすきに長しで機能だけは豊富の「万能型」な製品になってしまう。本書の優れているところは、こうした一つ一つの話がわかりやすい上に、製品開発のジレンマ・核心を突いているところなのかなと思います。