写真が本質的に有する被写体という対象から離して、「写真」という事象そのものをどのように語ることができるかを出発点に、写真とは何かを考察した本。
本書では写真を見たときに感じる情感を「ストゥディウム(一般的関心)」と「プンクトゥム(胸に刺さる何か)」の二つに分け、つかみ所がないプンクトゥムという事象について「自分の胸に突き刺さる」写真を題材に、なぜ突き刺さるのかを手探りで辿っていきます。
本の後半は亡き母の過去を辿る話を元に、過去の写真に存在する「それはかつてあった」という驚きについて話をします。この時間のギャップにある「刺さる」感覚は、一つの別のプンクトゥムであるとして、「それはかつてあった」という事実からとめどなく湧き出てくる情感、その「狂気」こそが写真のエクスタシーであると結論づけています。
結局なんだかよくわからんといった感じではありますが、著者とともに「写真とは何なのだ」と手探りでたぐり寄せていく、そうした感覚に「学び」があるなあと思いました。