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ソーシャル・キャピタル

ソーシャル・キャピタル(社会における信頼・規範・ネットワーク)に関する本で、ソーシャル・キャピタルの概念(第一部)、社会問題とソーシャル・キャピタル(第二部)、政策への提言(第三部)の三部構成となっています。すごくすごくかいつまんで言うと、ソーシャル・キャピタルが大きい社会では個人の満足度が高く、取引費用も少なくてすむ、だから経済の分析、政策の立案などにおいてソーシャル・キャピタルは考慮する必要があるのだ、とかいう感じの話。

第一部では概念の説明とともに、無形の価値であるソーシャル・キャピタルをどのように計測して、評価するかについても触れられています。「信頼」とは何かを一意的に定義するのは難しく(本書でも定義にかなりの紙面を割いている)、なにをして「信頼」に足るのかを判断する基準は個人、地域、国、文化で異なるところがある。ソーシャル・キャピタルをいかに客観的に測定・評価するのかは、なかなか難しい話だなあと感じました。

第二部はソーシャル・キャピタルが社会的にどのように効果を与えているか、社会的な問題がどのようにソーシャル・キャピタルに影響を与えているかについて、いろいろなケースを提示して論じています。たとえば信頼があれば細かな契約が不要となり、弁護士や会計士などの専門家が不要になる、そしてその結果、専門家の需要の低下、短期的にはGDPへマイナスの効果があるとか(p70)。そのほか、経済格差とソーシャル・キャピタルの関係や、教育とソーシャル・キャピタルの関係とか、メディア(テレビ・インターネット・携帯電話)とソーシャル・キャピタル、高齢社会・健康寿命とソーシャル・キャピタルなど・・幅広く話を展開しています。