プロジェクトマネジメント体系の標準である PMBOK(Project Management Body of Knowledge)を解説した本です。本書は 1〜2 章がプロジェクトマネジメントと PMBOK についての基本説明、3〜7 章が PMBOK を利用したケーススタディという二構成になっています。本の分量的には 150 ページ弱と比較的少なめな感じですが、ケーススタディでは PMBOK に記述できないようなプロジェクトマネジメントの勘所についても幅広く扱っています。
こうした体系化された知識の良い点は、たとえばプロジェクトのスタート時に、何を準備していかなければいけないのか、準備漏れがないか、気づきを与えてくれるところなのではないかと思います(その中で何をすべきか、プロジェクトの規模にあわせて取捨選択は必要かとは思いますが)。プロジェクトマネジメントを実際に業務として行ったことはないのですが、プロジェクトの一員として知っておくのも良いのかと思います。
個人的には p109 の「コミュニケーション・チャネル(会議の最大回数)」と p115 の「要件定義フェーズで発生しやすい問題」という二つのコラムに興味がそそられました。前者はコミュニケーション・チャネルはステークホルダー数を n としたときに n(n-1)/2 で算出できるという話で、ステークホルダーが 100 人いたら単純に計算すると 4950 回の会議が必要になるから会議の仕方、情報の伝達方法を考えないといけませんねという話。後者は「時間的制約」と(時間の経過と外部環境(市場など)の変化に起因する)「要件の変更」という二つの理由から、要件定義フェースで一つの機能を細かく検討しすぎず、大枠を決めることが大事だという話。