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新ハーバード流交渉術

ハーバード流交渉術の続編的な性格も持っているため「新ハーバード交渉術」という日本語タイトルにしたそうです。原題は「Beyond Reason : Using Emotions As You Negotiate(理性を超えて:交渉に感情を用いる)」。

本書の内容は「交渉相手との感情的な関係を「ポジティブ」にする」ことで交渉を成功させるといったもの。3部構成で、1部でポジティブ(ネガティブ)な感情を生み出す源となる5つの「革新的な欲求」を提示して、2部で5つの革新的な欲求について、実践例を交えて詳細に説明しています。最後の3部ではより実践的なアドバイスとして、「強いネガティブな感情に対処しよう」「準備の重要性」「アイデアを実世界で使う」という3点について書かれています。5つの革新的な欲求について簡単な要約を下記に記します。

  • 価値理解:自分の考えが認められているか
  • つながり:仲間として扱われているか
  • 自律性:自分にも意思決定の余地があるか
  • ステータス:ステータスにふさわしい扱いを受けているか
  • 役割:求めれている役割を満たしているか

交渉の現場において、冷静になるのは難しいですし、威圧されている状況化で自分の考えを述べることも難しい。良好な関係じゃない交渉であればもちろん厳しいですが、良好な関係であってもその関係を崩してしまう懸念があるから、やはり厳しい。本書にはそういった感情に対する対処法や、関係を崩さないための実践的な提案がなされています。

ただ、本書に掲載されている状況とまったく同じ状況というのはそんなにないですし、提案通りに対処しても、人によっては落ち着きを取り戻せないかもしれない。5つの革新的な欲求を「相手の立場を知るためのフレームワーク」としてとらえ、事前に何を準備しておくか、どうやって心の落ち着かせるかとか、経験を積み重ねて自分にあった方法をアレンジしていくのが肝要なのかなと思います。

本の内容を通貫するコアな概念があるとわかりやすいですね。わかりやすい本の条件と言えるかもしれないです。