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ハーバードでは教えない実践経営学

1985年に「マコーマックのマンビジネス」というタイトルで出版された本の新訳版です。いわゆるビジネスに必要な「処世術」、パートナーシップの構築など、筆者曰く「ハーバード・ビジネススクールでは教えたくても教えられない(p8)」内容を扱っています。「人間」「営業と交渉」「企業経営」の3部構成。

第一部「人間」はそのまんま「人間」がテーマです。その人の「人となり」をどのように判断すべきか、「先入観を持たない」「積極的に観察する」など判断するための基準・ステップを経験談を交えて説明しています。一部の後半は上記をふまえて、自分をどのように魅せるべきかをとつとつと経験談を交えて伝えています。中でも「人を窮地から救ってやる(p71)」の節は面白くて、「話が違う」とその場の利益だけで切り捨てるのではなく、大局的な見知を持つことの重要性を説いています。伝説のホテルマン「おもてなし」の極意の話と相通じるところがあります。

第二部「営業と交渉」もそのまんまのテーマで、商機・タイミングの取り方、交渉の仕方、市場性、商品のポジショニングなど、経験則にもとづいたアドバイスをしています。個人的に気に入ったのは、「セールスの前提条件(p184)」のページにあった二つの前提条件で、ひとつは「相手が買いたがっているものは何かを知ること」、ひとつは「買う人は誰かを知ること」というもの。前者は、つまり相手に「買わせる」より、相手が買いたいものを(知り、それを)売るほうが、簡単だという話。後者は、相手会社の意思決定者、意思決定フローを知ることの重要性を指摘しています。

第三部「企業経営」は、「起業」「会社の維持」についての知見が集められています。内容的には人事が中心という感じです。採用の重要性とともに解雇の仕方についても言及しています。事業戦略のような箇所もありますが、量的には少なめです。

部の中にいくつかの章があって、章の中はいくつかの見出しと400〜800字程度の本文の節で構成されているため、テンポよく読めました。また、それぞれの節は基本的に独立した話を扱っているので、興味を持続させやすかったです。