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本:長篠合戦

長篠合戦を読んだ。長篠の戦いといえば、織田信長が鉄砲を用いた三段撃ちで武田の騎馬隊を打ち破った、という鮮烈なイメージがあるが、実際には後年の脚色や、各勢力が自らを美化するための「化粧」が多分に含まれているようだ。本書では、成り行きで長篠周辺に戦場が定まった経緯を、武田家、徳川家、織田家の視点から丁寧に解説しており、とても興味深かった。

また、戦後に勝者側の物語として広まっていった長篠合戦には、酒井忠次や奥平信昌ら現場で活躍した人物の思惑も加わり、多角的なイメージが形成されている。そうした物語の背景を一つずつ解きほぐし、実像に迫っていく長篠合戦の魅力が詰まった一冊だった。