メモログ

⛰ 塵が積もって山とならないメモのログ 👄

本:ザ・ニューリッチ

原題は「Richistan」(リッチスタン)。アメリカで急増している新富裕層についての調査をまとめた本です。新富裕層は「コンシェルジュ医師」のように自分たち向けの究極のサービスを消費し、自分と同じくらい資金力を持つ人間とクラブを形成して、富裕層ゆえの不安や悩みを相談しあっている。リッチスタンはおそらく「rich(富)」と「stan(国)」をあわせた造語で、「富裕層が形成する独立国家」「富裕層は、数に任せて自己完結した内輪の世界を築いている(「はじめに」の4ページ)」という本書の骨子となる概念をうまく言い表しています。

本書は12章の構成で、ニューリッチ(リッチスタン人)が急増した原因、ニューリッチへの道のり、ニューリッチの生活、それに伴う経済効果、ニューリッチの社会活動・政治・育児など、ニューリッチについていろいろな角度から解説しています。個人的には、ニューリッチの消費活動による恩恵に浴している人の存在に興味がひかれました(p150)。たとえば、ニューリッチが自宅に大理石を使いまくるので石工が儲かっていたり、ニューリッチの豪邸を管理するための執事(ハウスホールドマネージャー)の需要があがっていて、執事になるためのスクールまで発展してきているなどなど。資金力が膨大であるため、さまざまな方面に影響力を与えることができ、消費活動のひとつをとっても、大きな力を持っているという点が印象的でした。

本書では、富の大きな流れが富裕層を世界規模でうんでいくこと、それによる貧富格差がひろがることを懸念しつつも、リッチスタン人の持つ、革新性・社会性・民主性が、政治・経済・慈善を通してよりよい世界へと導いてくれるのではないかと話をまとめています。

全体で250ページ強ありますが、文章が全体的に平易でよみやすいので、3日〜4日くらいで読めました。集中して読めば1日で読めるかも。そして最後に個人的な感想をいえば、ただうらやまし〜というしまりのない物言いにつきるわけです。はい。