2007年11月アーカイブ

2007年11月17日

本:幽霊を捕まえようとした科学者たち

4,5ヶ月前に読んだ本なので、読み返しながら作文。幽霊の存在を科学的アプローチで立証しようと試みた科学者たちの物語です。科学系のノンフィクションは好きです。

本書は12章構成で、時系列にそって話がすすみます。前半は物語の背景、心霊研究の成り立ちについてが主で、後半はハイパー婦人という信頼のおける霊媒と、エウサピアという一筋縄ではいかない霊媒という、二人の霊媒の研究が主になります。話の端々で触れられる科学者たちの人間味、時代の熱気のようなものが、物語に躍動感のある色をつけてくれます。

本書の面白いところは、ただ心霊現象をうのみにするわけではなく、つねにトリックの疑いをもって、いんちきをあばこうという姿勢がある点。その代表格がホジソンという人物で、本書中でもいくつかの心霊トリックをあばいている。そのホジソンが「トリックがない」と見込んだのがハイパー婦人で、懐疑主義である彼がついに霊の存在を認めるようになる(p290)。執拗なまでにいんちきをあばこうとするホジソンがついに認めた!というところに、まるで一緒に研究に携わっていたような高揚感を持ちました。ハイパー婦人はいわゆる霊媒体質で、幽霊(と思われるもの)を体にとりこみ本人とその幽霊となっている人物にしか知り得ない情報を指摘したりする。

あと、もう一つ面白かったのは、心霊能力には「衰退効果」があるのではないかという仮説です(p193)。年をとるにつれ、心霊能力は弱まっていく場合があるのではという話。心霊能力はうまれつきのもので、不変の能力と思いがちだったので、そういう考え方もあるのとはっとさせられました。

科学の研究に携わっていない私は、科学とは絶対的なもので、絶対不変の理論であると考えてしまいがちですが、科学とは仮説と立証のたゆみない繰り返しであって、まだ理解できていない現象も存在する、そう思わせるような内容でした。

2007年11月16日

本:黒リッチってなんですか?

富裕層がどんな生活・消費をしているか、といったような内容の本。黒リッチという呼び名は、消費の究極系みたいな分類をうまくとらえているとも思いますが、それよりも言葉の響きが面白くて興をそそりました。

本書では世帯収入2000万円以上を富裕層と定義して、とてつもないお金持ち、というよりは普通の人より抜きん出ている人といった印象です。それは、ほとんど普通だけど、こだわりたいところには金を惜しまない、一点豪華主義的な消費の動きも視野にとらえたいという考えがあるみたいです。

構成的には、最初に分類みたいなものがあって、そのあと富裕層の生活を紹介しています。後半に「生き方リッチ」という、なんというか、悠々自適に生きててうらやましいという感じの人の生活を紹介と、ビジネスで富裕層の相手をするひとたちの声を集めています。

最後に個人的な感想を述べると、いろんな人がいて、いろんな生き方があるね!という感じです。

2007年11月13日

本:ザ・ニューリッチ

原題は「Richistan」(リッチスタン)。アメリカで急増している新富裕層についての調査をまとめた本です。新富裕層は「コンシェルジュ医師」のように自分たち向けの究極のサービスを消費し、自分と同じくらい資金力を持つ人間とクラブを形成して、富裕層ゆえの不安や悩みを相談しあっている。リッチスタンはおそらく「rich(富)」と「stan(国)」をあわせた造語で、「富裕層が形成する独立国家」「富裕層は、数に任せて自己完結した内輪の世界を築いている(「はじめに」の4ページ)」という本書の骨子となる概念をうまく言い表しています。

本書は12章の構成で、ニューリッチ(リッチスタン人)が急増した原因、ニューリッチへの道のり、ニューリッチの生活、それに伴う経済効果、ニューリッチの社会活動・政治・育児など、ニューリッチについていろいろな角度から解説しています。個人的には、ニューリッチの消費活動による恩恵に浴している人の存在に興味がひかれました(p150)。たとえば、ニューリッチが自宅に大理石を使いまくるので石工が儲かっていたり、ニューリッチの豪邸を管理するための執事(ハウスホールドマネージャー)の需要があがっていて、執事になるためのスクールまで発展してきているなどなど。資金力が膨大であるため、さまざまな方面に影響力を与えることができ、消費活動のひとつをとっても、大きな力を持っているという点が印象的でした。

本書では、富の大きな流れが富裕層を世界規模でうんでいくこと、それによる貧富格差がひろがることを懸念しつつも、リッチスタン人の持つ、革新性・社会性・民主性が、政治・経済・慈善を通してよりよい世界へと導いてくれるのではないかと話をまとめています。

全体で250ページ強ありますが、文章が全体的に平易でよみやすいので、3日〜4日くらいで読めました。集中して読めば1日で読めるかも。そして最後に個人的な感想をいえば、ただうらやまし〜というしまりのない物言いにつきるわけです。はい。

2007年11月12日

本:地図で読む世界情勢

この本は第一部と第二部とに分かれていて、今回読んだのは第一部のほうです。150ページほどで地図がカラーでふんだんに使われていて、ぱらぱらと地図をながめつつ関心があるところを読んでみるという読み方もできます。

本の副題「なぜ現在の世界はこうなったのか」にあるとおり、第一部では現在の国の成り立ち、なぜ今のような国境線となっているかを紹介しています。基本的には第一次世界大戦前後からの歴史で、場所によってはそれより前の歴史についても紹介しています。たとえばアメリカとカナダがどのようにして形作られたのか、ふと考えるとよくわからないところまでくまなく紹介してあります。

最近ではパキスタンの情勢やトルコとクルド人の間の問題などがニュースになることがありますが、そういった情勢を知る上での基礎知識も蓄えることができます。地理的な条件って国として重要な要因のひとつなのに、よく知らないものだなと個人的に感じました。これはいろんな人に読んでほしい本です。

2007年11月11日

続・ブログとは何か

1年半くらい前に書いた記事をきゅうに思い出して、その続きを書いてみようと思い立ちました。いい加減な私。以前に記した「自分をまとめるためのツール」という考え方は、まだ変わっていません。ただ、今はアウトプットするよりもインプットする方に関心が向いています。

ということで。もしも「ブログで何をすれば良いのか」と尋ねられたら・・まずその人の真意を探る必要がある。たとえば「ブログってはやってるけれど、何を書いたらいいかわかんないんだよねー。」という感じであれば、おそらくそれは流行を理解できないというだけの話のように感じる。だから「なんでも書いてみれば楽しいよ」とかでいい。何か書きたい人は自然と始めるだろうし、書くのが面倒くさいと感じる人はきっと書かないだろうし。

たとえば「ブログを始めてみようと考えているけど、何を書いたらいいと思う?」というような含意が感じられるとしたら、その人が何に関心を持っているかを尋ねてみる。その人が人生においてどんなステージに立っているかも、何を書いたら良いかを提案するのにはいい材料になる。できるだけその人が日常的に接するようなものごとを提案するのがいい。書くという行為が、日常にたいする関心を生み、知識を深めてくれる。知識が深まれば、書くのが楽しくなってくる。

たとえば、専業主婦で一日の大半を家で過ごす人であれば、とりとめのない日常を記してみるのも悪くない。旦那さんや両親など関心を持って接してくれる人がいれば、何を書いていてもそれなりに楽しい。何も大勢の人に見てもらうのが大事なわけではない。どこかのだれかが関心を持ってくれるというだけで、きっと書くのは楽しい。書くのが楽しくなってくれば、日常の見え方が少し変わってくる。思ったより書く「ネタ」が多いことに気がつく(と思う)。そしてまた書く。

だから、ひとつの回答としては、「発信」「反応」「気づき(受信)」という3つの要素がうまくループできるような話題がよいのかなあと思います。

2007年11月 5日

本:ベイジアンネットワーク技術

副題は「ユーザ・顧客のモデル化と不確実性推論」。「ベイジアンネットワーク」とは何かを解説した本で、初めにベイジアンネットワークの理論的な基礎を解説した後に、ユーザーモデル、関連ソフトウェアの紹介、人間のモデル化から「ユーザー適応システム」への取り組みの紹介など、基礎から応用まで幅広くあつかっています。分量的には160ページ程度ですが、理解するのに時間がかかりました。わたしは最初の基礎部分をじっくり読んで、最後の応用事例は軽く読み流す感じで読みました。

ベイジアンネットワークとは「複数の確率変数の間の定性的な依存関係をグラフ構造によって表し、個々の変数の間の定量的な関係を条件付き確率で表した確率モデル(p10)」です。自分の言葉に置き換えて言うならば「原因と要因をつなげてグラフ化して、多方向的に推測しまくる技術」という感じでしょうか。

ベイジアンネットワークの特徴は確率的推論を再帰的に行い値を導きだすというところ。たとえばA(親ノード)→B→C(子ノード)という事象があったとして、Bの値を計算しようとする場合、AからBに与えられる観測可能な情報と、BからCに与えらえる観測可能な情報から、Bの取りうる値を条件付き確率表として導出する。たとえば親ノードの上にさらに親ノードがある場合は、再帰的に計算をしていくことで確率分布を更新していく。ベイジアンネットワーク内でつながりのある変数から観測できる情報を元にどんどん計算して、知りたい情報の確率分布を更新していくから、情報の精度が高くなる(ということなのだと思う)。

応用例のひとつとして、プリンタの診断モデルが上げられている。たとえば紙送りモータの状態を知りたい場合、「紙送りモータの電流」「用紙通過時間」「紙送りモータの振動」、親ノードの親ノードの「紙送りモーターオン信号」などからもっともありうる状態を推測する。たとえばユーザーのFAQなんかでも、ユーザーの知識レベルや、よく閲覧するFAQ、タスクの難易度などから、必要な情報が何かを推測することで、よりユーザーが欲しいFAQ情報を表示することができるようになる、かもしれない。

難しいのは、ベイジアンネットワークのモデル構築であり、ユーザーの行動がなぜ行われたのかを推測するための要因・結果のつながりをどのように定めていくかというところ。本書の後半では、ユーザーの行動から、今欲しい情報が何かを推測するという、人間のモデル化から「ユーザー適応システム」への応用までを取り上げています。認知科学とか行動科学とかの領域に足を踏み入れていく感じ。

アンビエント・ファインダビリティでは、情報の発見のしやすさが今後重要性を増していくと語られていました。ユーザーがタイムリーに欲しいと思う情報を推測する技術として、ベイジアンネットワーク技術がこれからますます注目されていくだろうと本書を読んで感じました。モデルの構築がすごく大変な感じで、たぶんそれを専門に行うようなチームが存在しないと、技術の導入はなかなか難しいかなとは思いますけど。

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